カテゴリ: スターメー・アーチャーFC

 
イメージ 4
 
 ラチェットとプラネットピニオンを組んだ右プラネットケージを取り付けます。
  
イメージ 5
 
  この時点で、忘れずにコンペンセータースプリングをこの方向に入れます。(私はしょっちゅう忘れます)
クラッチを組んでしまうとこのスプリングは入りません。
 
イメージ 6
 
 クラッチを組みます。コンペンセータースプリングがありますので、クラッチは浮き上がった状態になります。
 
イメージ 7
 
  ラチェットを組んだギアリングを入れます。
 
イメージ 8
 
 ボールリングは取り外し時に変形させてしまった部分があったらそれを修正します。大きなマイナスドライバーでこじって、内側に変形した部分を出します。アウターダストキャップが干渉しないようにすることが必要です。
 
イメージ 9
 
  そして24個の3/16"ボールを入れてインナーダストキャップをはめ取り付けます。
 
イメージ 10
 
 ドライバーを入れ、クラッチスプリングとスプリングキャップを入れます。ドライバーのダストキャップの溝にはグリスを入れます。このあと右コーン、ロックワッシャー、ロックナットを取り付けます。
 
イメージ 11
 
 組みあがった内部ユニットです。
 
イメージ 1
 
 組みあがった内部ユニットをハブシェルに入れ、ボールリングとハブフランジのマークが合うようにねじ込みます。マークが合わない場合は、ねじ込み開始位置を1回転ずらせます。そしてタガネとハンマーで締めつけます。
 
イメージ 2
 
 左コーン、ワッシャー、ロックナットを組み、ベアリングを調整します。
 
イメージ 3
  スプロケット、トグルチェン+インジケーターを取り付ければ完成です。
 
 完成したらこの状態でシフトのテストを行います。FCのようなクロスレシオでは、スプロケットとハブフランジに付けるマークは1個ずつにしたほうがわかりやすいです。そしてスプロケットを1回転させたときにハブフランジがどれだけ回転するかを見ます。
 トグルチェンを引かない状態はハイですので、ハブはスプロケットより速く回転します。スプロケット1回転でハブは1 1/4回転します。
 トグルチェンを少しずつ引いていくとスプロケとが空転する位置があり、そこから少し引くとノーマルです。ハブとスプロケットは等速回転します。
 さらにチェンを引き、左のインジケーターの端が、アクスルシャフトの端と一致したところがローです。ハブはスプロケットより遅く回転します。スプロケット1回転でハブは0.9回転します。
 そこから先ぐっと重くなった引きをいっぱいまで引いたところがスーパーローです。ハブはスプロケットよりさらに遅く回転します。スプロケット1回転でハブは3/4回転します。
 
 

イメージ 1
 
 FCの組み立て手順はFMと全く同一です。分解図はハドランド氏のブログをご覧ください。
 
 まずは「左側」の組み立てです。アクスルシャフトにローギアスリーブ、左サンピニオン(セカンダリーサンピニオン)、ロケーティングプレート、ロックワッシャー、ロックナットを写真のように入れます。スリーブのツバはピニオンのくぼみに収まります。ロケーティングプレートは本来裏表がありませんが、ピニオンが引っかいた傷があるので元どおりに組みます。
 
イメージ 2
 
  ロックナットを締め、ロックワッシャーを曲げて回り止めにします。出荷時は2か所折り曲げてますが、1か所でいいと思います。
 
イメージ 3
 
 ローギアスリーブにローギアキーを入れます。キーの穴は軸方向に一致させます。そしてプラネットピニオン3個をはめた左プラネットケージを取り付けます。
 
イメージ 4
 
 続いてローギアドッグをこの方向に入れます。
 
イメージ 5
 
 ローギアスプリングと右サンピニオン(プライマリーサンピニオン)を入れます。
 
イメージ 6
 
  「左側」を組み終わったアクスルシャフトを右側を上にバイスに固定し、「右側」の組み立てに移ります。

イメージ 1
 
 ギアリングを外した状態のFCです。遊星ギア機構は2組ですが、左側の遊星ギア機構は入出力には関係しておらず、2段がけのカスケード機構としてクロスレシオ化に使われています。
 すなわちハイ、ノーマル、ローでは右側のサンピニオンはアクスルシャフトに固定されておらず回転するので、本来のサンピニオンとしては機能しません。そのかわり左のサンピニオンが常時アクスルに固定されており、左側のプラネットケージと右サンピニオンが連結して等速で回転するので、右のサンピニオンを小さくしたのと同じ効果が得られます。これはFMと全く同じ構造ですが、違うのは右サンピニオンの歯数で、FMの30Tに対してより小さい20Tを使用しています。したがってFCのほうがクロスレシオになるわけです。
 
イメージ 2
 
  ハイ-ノーマル-ローのときの状態です。クラッチの役割をするローギアドッグが左のプラネットケージに噛み合い、同時に右サンピニオンの足に噛み合っています。この状態では右サンピニオンはフリーに回転します。
 
イメージ 3
 
ハイ-ノーマル-ローの変速が終わり、ローからさらにワイヤーが引かれると、それまで強いスプリングの力で動かずにいたローギアドッグが右に移動し左プラネットケージとの噛み合いが外れます。それと同時にローギアドッグとアクスルシャフトが噛み合いますので(この写真では見えません)、右サンピニオンはアクスルシャフトに固定されます。つまり左遊星ギア機構を利用したカスケードが解除され、本来の右遊星ギア機構の作動になります。これがスーパーローです。
 
イメージ 4
 
 右サンピニオンを外して見たローギアドッグと左プラネットケージの関係です。これはハイ-ノーマル-ローのときの状態です。スーパーローでローギアドッグが右に移動すると、左プラネットケージとの噛み合いが外れ、同時にアクスルシャフトとの噛み合いが開始されることがわかります。ローギアドッグはどちらの状態でも右サンピニオンと噛み合っています。
 
イメージ 5
 
  操作系です。ハイーノーマル-ローではクラッチスプリングに押されているクラッチを右のキーが引っ張って変速します。クラッチがスロットいっぱいで止まったところでさらにトグルチェンを引っ張ると左のキーがローギアスプリングに押されているローギアドッグを引っ張ってスーパーローにシフトします。
 ロー→スーパーローは、クラッチスプリング+ローギアスプリング+コンペンセータースプリングの3つのスプリングを圧縮することになるので、急にトリガー操作が重くなります。
 

イメージ 1
 
 それでは本体の分解に入ります。アクスルシャフトを右側を上にバイスに固定し、ボールリング(右)とギアリング(中)を外します。
 
イメージ 2
 
 インナーダストキャップを外し、24個のボールを取り去ったボールリングです。タガネで激しく何回もたたく必要があったので溝が変形してしまっています。この内側に出っ張ってしまった部分は修正しておかないと、アウターダストキャップが干渉して不具合の原因になります。ドライバーでこじって修正すると、変形した部分が割れて取れてしまうことがありますが、グリスを入れる溝の部分だけなので実害はありません。
 
イメージ 3
 
 これも他のモデルと同じように、クラッチを分解します。それにはスラストリング、アクスルキー、スライディングクラッチ、クラッチスリーブの順に外します。
 
イメージ 4
 
  右のプラネットケージを外します。
 
イメージ 5
 
 右プラネットケージを分解します。ケージ自体は幅の狭い専用品ですが、構成パーツはすべてAWと共用です。いつもながら、ねじを使わずはめ込みだけで組み立てられている構造に感心します。
  これで「右側」の分解は終了です
 
イメージ 6
 
 それでは「左側」の分解に入ります。まずアクスルシャフトの右側からコンペンセータースプリングを取り出しておかなければなりません。これは頭のついているほうが奥の方向(写真と逆)に入っています。
 
イメージ 7
 
 アクスルシャフトの右側の方向に、右のサンピニオン(プライマリーサンピニオン・右上)、ローギアスプリング(左上)、ローギアドッグ(右下)、セカンダリープラネットケージ(左下)を順番に外します。
 
イメージ 8
 
 ドッグスリーブに入っているローギアキーを抜きます。
 
イメージ 9
 
 ロックワッシャー(下中)の折り曲げを平らにし、ロックナット(下左)をゆるめて外せば、ロックワッシャーとロケーティングプレート(下右)が外れます。そうすれば左のサンピニオン(セカンダリーサンピニオン)とドッグスリーブを抜き取れます。以上で分解は終了です。

イメージ 1
 
 今回OHするのは1950年7月製のFCです。ご覧のように刻印の向きは旧式で、車体左側から読めるようになっています。
 
イメージ 2
 
 ちょっと変わっているのはルブリケーター(給油口)で、見たことがないものです。これはスチールボールが下からスプリングで押されてバルブ(ボールバルブ)になっているもので、オイラーの先でボールを押し下げながらオイルを注入するものです。もちろんグリスガンでグリスを注入してはいけません。
 
 50年代のはね上げ式ルブリケーターは感じ良いのですが、そこからオイルが漏れやすいです。その点これはボールバルブ式で漏れが少ないのではないかと思います。
 
イメージ 4
 
  まず左右別体式のトグルチェン+インジケーターを両者のねじをゆるめて外します。ワイヤーの取り付けはレーシングモデルのみに見られるクイックレリーズ式です。
 
イメージ 5
 
 どのモデルでも共通の手順ですが、まず左のロックナット、ワッシャー、コーンを外します。ここのワッシャーは回り止めタイプではないので、ロックナットだけにレンチをかけてゆるめるとコーンも、付いて回ってきます。しかしそれだけでゆるめるとアクスルシャフトのねじ山を痛めることが多いので、必ず16mmのコーンレンチでコーンを押さえてロックナットをゆるめなければなりません。
 
 ついでながら、左側のボールリングにも回転式のふた付きのオイル給油口があります。これもかなり古いモデルの特徴ですが、スターメーも古いもののほうが凝った造作が見られます。
 
イメージ 6
 
  これも手順通りで、右ボールリングの溝とハブフランジにペイントで合わせマークを付け、タガネとハンマーでボールリングをゆるめます。
 なぜスプロケットを先に外さないのかと思われましたか?。写真を見ればお分かりになると思うのですが、スプロケットは通常のサークリップ固定式ではありません。これはサークリップの位置にある逆ねじ式のリングをゆるめると、スプラインで取り付けられたスプロケットが外れる方式で、一部のレーシングモデルのみの凝った方法です。しかしドライバーを外さないとリングがゆるめられないので、この時点ではスプロケットを外しません。
 
イメージ 7
 
 しかしボールリングが強烈に固く締まっており、作業がやりにくいのでドライバーを先に外すことにしました。それには右ロックナット、ロックワッシャー、右コーンを外し、クラッチスプリングとスプリングキャップを外します。
 
イメージ 8
 
  ようやくボールリングがゆるみ、取り出した内部ユニットです。オイルが乾いて茶色く固着していますが、錆はありません。まず問題のないメンテナンスを受けていたもののようです。構造を見ると2系統の遊星ギア機構で、プラネットピニオンは別体式です。
 
イメージ 9
 
 ハブシェルの中を見ると、ラチェットトラックの向こうにギアリングの歯が見えています。これはFM、ACと同じカスケード式のクロスレシオなのでしょう。
 
イメージ 10
 
 ここでドライバーからスプロケットを外します。それにはまずバイスに丈夫な鉄板をはさみ(例ではカンパのヘッドレンチ)、それにドライバーの4本の足をかけて回り止めにした状態で、ロックリングをゆるめます。逆ねじですのでフックレンチをかける方向は写真のようになります。
 
イメージ 3
 
  ロックリング(右中)を外せばスプロケット、スペーサーリング、ダストカバーが外れます。ご覧のようにドライバーとスプロケットに12個のスプラインが切ってある凝った方式です。なおスペーサーリングをスプロケットの左右どちら側に入れるかでチェンラインの調整ができます。
 
 

↑このページのトップヘ