カテゴリ: スターメー・アーチャーAC

 
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  クラッチ関係のパーツ(クラッチスリーブ、スライディングクラッチ、アクスルキー、スラストリング)を取り付けます。
 
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 ラチェットを組み込んだギアリングを取り付けます。
 
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 リテーナーに新品の3/16"ボール14個を組み込んだボールリングを取り付けます。
  
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 ボールを交換したドライバーを取り付け、クラッチスプリングとスプリングキャップを入れます。
  
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 右コーンをねじ込み、1/4~1/2回転戻してからロックワッシャー、ロックナットで締めます。
 
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 完成した内部ユニットです。
 
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 十分にオイル潤滑した内部ユニットをハブシェルに入れ、ボールリングをねじ込んで合わせマークが合うことを確認し、タガネとハンマーで締めます。
 
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 左コーン、ワッシャー、ロックナットを取り付け、ベアリング調整を行います。
 
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 ダストキャップ、スプロケット、2枚のスペーサーワッシャーを入れ、サークルップをはめて固定すれば完成です。
 

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 スターメーACの特徴は、20Tのギアが10個も入っていることです。組立て前にその「記念写真」を撮っておきました。
 
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  それでは組み立てを始めます。分解図とパーツリストはハドランド氏のブログにありますので参考にしてください。
 
 アクスルシャフト左側に、セカンダリーサンピニオン(左サンピニオン)、ロケーティングプレート、ロックワッシャー、ロックナットを取り付けます。左サンピニオンはアクスルシャフトの四角部分にはまって固定されます。ロケーティングプレートは本来裏表はありませんが、ピニオンによるすり傷がついているほうを内側に組みます。ロックワッシャーは少し皿状になっており、端にすきまができる方向に組みます。
 
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 ナットを締めたら、ロックワッシャーを曲げて回り止めにします。メーカー出荷状態では2面で曲げてありますが、1面だけの曲げでいいと思います。
 
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  コンパウンドケージ(右サンピニオンと左プラネットケージが一体になったパーツ)に4個のプラネットピニオンを取り付け、アクスルシャフトに入れます。写真ではバイスが写っていますが、両手を使ってやります。なお8個のプラネットピニオンは同一部品なのでどれを組んでもかまいません。
 
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 ピニオンを落とさないように気を付けて裏返しにし、右側を上にバイスに固定します。
 
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  ラチェットを組み込んだ右プラネットケージを取り付けます。

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 ACの全構成部品です。調べてみると左右のプラネットピニオンは共通で、しかもAWと共用です。右のピニオンピンもAWと同じものです。アクスルシャフトはFMと共通で、左側のスロットと中央のドッグはACでは使われません。AC専用なのは左のサンピニオン(20T)、右のサンピニオン(20T)と左のプラネットケージが一体になったコンパウンドケージ、AWと同形式だが幅を詰めた右のプラネットケージです。
 ギアリング、ドライバー、クラッチ、ラチェットなどはすべてのモデルで共用です。
 
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  ACのウルトラクロスレシオを実現するための主要パーツです。左側のサンピニオンはアクスルに固定されています。右のサンピニオンはアクスルに固定されておらず回転します。また左のプラネットケージと一体になっています。右のプラネットケージとギアリングは各モデル共通のタイプです。
 
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  遊星ギア機構は左右二組ありますが、これはギア比をクロス化するためだけに働きます。すなわち右のサンピニオンはアクスルに固定されていないので、実質上サンピニオンとしては働きません。実質上のサンピニオンはアクスルに固定されている左のサンピニオンで、→左プラネットケージ=(連結)=右サンピニオン→右プラネットケージ→右ギアリング の遊星ギアとして働きます。この2段構造(カスケード)により、小さいサンピニオンと大きいギアリングにしたときと同様のクロスレシオになります。それが他のモデルと同径のハブシェルに収まり、シフト機構も共用できるところがこのシステムの巧妙なところです。
 形だけ見ると、このギアがずらずらっと並んだところはいかにもレーシングマシンのギアボックスという感じです。それが数少ない専用部品と多くの共用部品で構成されているところもイギリス製らしいです。
 しかしAMとACが全然別の手法でクロスレシオ化されていることには驚きました。スターメーはいろいろな宇宙を見せてくれます。
 正直言ってACを入手したのは構造に興味があったからで、実用することは考えていませんでした。しかしこの中身を見てしまうと気が変わってきました。私の近くにもある丘陵地の、お気に入りのコースを走る専用マシンを夢想します。ホイールはチューブラーにして、ゆるいアップダウンのたびにカチカチとこまめにチェンジして走る、なかなか面白そうです。

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  アクスルシャフトを右側を上にバイスに固定し、写真左上からロックナット、ロックワッシャー、コーンを外し、写真右上からスプリングキャップ、クラッチスプリング、ドライバーを外します。ドライバーはダストキャップを外してボールリテーナーを取り出し、ボールを交換します(AWの項参照)
 
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 ボールリングを外します。この個体は年式が古いので、はめ込みのダストキャップの中にバラ玉が入っているのではなく、写真のようなボールリテーナー形式になっています。リテーナーからボールを外すことは可能で、14個のボールを交換するのは比較的簡単です。
 
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  次にギアリングを外し、ラチェットを分解します。
 
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 現れたプラネットケージを見てびっくりしました、AW以外には見られない4個のピニオンです。ピニオンピンがケージから飛び出してクラッチと噛み合うところも同じです。
 
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  写真下からスラストリング、アクスルキー、スライディングクラッチ、クラッチスリーブです。この順に取り外します。
 
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 プラネットケージを取り外し、ピニオンとラチェットのパウルを分解します。
 
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  通常ならアクスルシャフト右側からの分解はこれで終わりですが、ACではさらにこの部品名コンパウンドケージを外すことができます。もちあげるとピニオンが外れ落ちるので気をつけます。これはAC独特のパーツで、右側のサンピニオン(アクスルシャフトに固定されない)と左側のプラネットケージが一体になったものです。
 
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  残ったアクスルシャフトの状態です。左のサンピニオンはアクスルに固定されています。機能的にはこれ以上分解する必要はありませんが、ロックワッシャーの折り曲げを伸ばして分解してみます。
 
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  ロックナット(右上)、ロックワッシャー(右下)、ロケーティングプレート(左下)を外すと、アクスルシャフトの四角部分にはまった左側のサンピニオン(セカンダリーサンピニオン)が外れました。これで分解作業は終了です。

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 実例にするACは1950年8月製で、当然ながら軽合金シェルのモデルです。戦前型のように、刻印の文字は左側から読める方向に打たれています。
 
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  その刻印のアップです。
 
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 まずスポーツモデルには装備されているウイングナットを外します。上が左側、下が右側のウイングナットです。
 つぎにハブ右側のトグルチェンと左側のインジケーターロッドを外します。これはハブ中央でねじ結合されているのでそれをゆるめて外します。トグルチェンの先端は平板になっており、これに写真下から2番目のクイックレリーズ金具が噛み合います。平板の穴に金具の突起が噛み合うわけですが、金具を少しこじればフォークが開き一発で外れます。結合するときもフォークの間に平板を滑り込ませるだけでワンタッチです。
 通常の連結金具だと、ホイール着脱のたびにワイヤーのねじをゆるめ、またねじ込んでは調整する手間がありますが、クイックレリーズはそれを全部省けてとても便利です。
 
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  サークリップ(左上)を外し、2枚のスペーサーリング、スプロケット、ダストカバーを取り外します。
 
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 ハブ左側からロックナット、ワッシャー、コーンを外し(写真省略)、ハブシェルをバイスに固定します。ボールリングの溝とハブフランジにペイントで合わせマークを付け、タガネとハンマーでボールリングをゆるめれば内部ユニットがそっくり外れます。
 
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 外した内部ユニットです。3速なのに遊星ギア機構は2組あり、どんな仕掛けなのでしょうか。プラネットピニオンは独立型です。外観上はFMにそっくりです。この個体は、誤ったグリスの注入はなく、またオイルもねとねとになっておらず、今まで見た中で最高のオイル管理状態です。当然錆はありません。
 
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 ハブシェルの奥にはラチェットトラックだけではなくギアリングの歯が切ってあります。これはベアリングトラックだけのAW、FW、S5、AMのシェルと異なり、FMと同じです。
 
 

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